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アメリカの人種差別とは。映画 “GREEN BOOK”から考える。

Amazonより引用

近頃アメリカで、人種差別への切実な訴えが続いていますよね。日本人である私は、この状況について軽はずみな発言は控えるべきですが、マイノリティと言われる人々(今特に訴えているのは、アフリカ系アメリカ人の方)が、これまでの歴史の中でどのくらい酷い扱いを受けたのか、どうしても気になりました。しかし、全ての情報や歴史を正しく理解することは難しいので、2018年に公開され、話題となった映画「グリーンブック」の観点で、私なりに人種差別についてシェアしたいと思います。

“GREEN BOOK”について

舞台は1962年。ニューヨークの一流ナイトクラブで用心棒を務めるトニーが突然職を失い、
カーネギーホールに住む黒人天才ピアニストのドクター・シャーリーの運転手として、共にアメリカ南部ツアーに同行します。当時、アメリカ南部では有色人種への差別が色濃く、どんなに地位や名声のある人でも一流ホテルには宿泊できない時代。そこで、「グリーンブック」と言う、有色人種専用のホテルが記載されているガイドブックを片手にツアーを回ると言う実話をもとにしたお話です。

参考: https://gaga.ne.jp/greenbook/about.html

映画に登場する、差別的なシーンや言葉

ドクター・シャーリーの運転手として働く以前、白人であるトニーも、黒人や有色人種を軽蔑していました。

自宅の修理作業をした黒人作業員に「黒ナス」と言うトニー

家族が自宅のテレビで野球観戦をしていると、トニーが何の騒ぎだと起きてきます。家の様子を見ると、野球を見ている家族の傍で黒人の作業員2人が自宅の修理に来ていました。トニーの奥さんは感謝と共に水を振る舞いましたが、野球を見る家族たちはその黒人作業員が聞こえる大きな声で、「黒人がきているのに家の主人が起きないなんて、奥さんが危ない。」と言ったり、「黒ナスが来ているなんて知らなかった。」とトニーが言ったり、、、。
しまいには、作業員が帰った後、作業員が使ったコップをトニーは汚そうに持ち、ゴミ箱に、、、。

ドクター・シャーリーの運転手採用面接のお話

トニーが面接に訪れた際、ドクター・シャーリーはトニーを採用することを決めていたと伝え、
引き受けて欲しいとお願いしますが、運転だけでなくマネージャーとしての仕事もお願いされたことにトニーは不満を言います。最後に賃上げを要求した後、「イヤならさっきのチャイナを雇え」と言いました。別の人を雇えと言えば済むことを、わざわざチャイナと口に出す必要はあるのでしょうか、、、。本当は日本人だっだかも、韓国人だったかもしれないのに。

ケンタッキー州の “Colored ONLY”ホテル&その周辺のお話

トニーとドクター・シャーリーはケンタッキー州の黒人専用ホテルにやってきました。見るからに治安の悪そうな地域で、ホテルと言っても、古い2階立てアパートに広い駐車場と中庭があるようなところです。ドクター・シャーリーがウイスキーを片手にスーツ姿で中庭でくつろいでいると、周りの宿泊者から力仕事を手伝うように言われ、断ります。すると、「その召使用のスーツが汚れちゃうからな。」と嫌味を言われるシーンがあります。
これも、長年アメリカでは白人に比べ、黒人などの有色人種の人々は所得がかなり低く、貧困率も非常に高いため、稼いでいる黒人や金持ちそうに見える黒人は他の黒人から白い目で見られるのです、、、。悲しすぎます。才能があって稼いでいるお金なのに、、、。
そしてドクター・シャーリーはフラッとホテル近くのバーに寄りますが、そこで白人に突如殴られ、ボコボコにされます。何も悪いことをしていないのに、肌が黒いというただそれだけでバーでお酒を飲んでいたら襲われるのです。
トニーがすぐに助けに行き、「出歩くな、この地域がどこだか分かっているのか。」とドクター・シャーリーを強く注意しましたが、「地域のせいかな。トニーの家近くのバーでも同じことが起きた。」とドクター・シャーリーが返すと、トニーは返す言葉が出ませんでした。

ノースカロライナのライブ会場に向かう途中のお話

ケンタッキー州を後にし、次の会場であるノースカロライナに向かいますが、農村地域を車で走っている途中、突然車の調子が悪くなり、少し停車しました。トニーが車のボンネットを開けて作業中、ドクター・シャーリーは一旦降車しました。周りを見渡すと、目の前の大きな畑で農作業をしている黒人集団からドクター・シャーリーは睨み続けられるのです、、、。タキシードにハンカチで顔を仰ぐドクターシャーリーと、汚れた汗と泥に混じったオーバーオールで農作業に励む彼らの違いに、なんだか悲しくなるシーンです。農家の人たちは何か言葉を発する訳ではないのですが、ドクター・シャーリーが車に乗っても睨み続けていました。

ノースカロライナのライブ会場にて

このツアーでは、ドクター・シャーリーの演奏前にディナータイムがあります。ここの会場で、「ドクター・シャーリーに喜んでいただけるメニューをシェフが考え抜きました。」と言ってディナーが出てくるのですが、それがフライドチキンです、、、。ゲストがドクター・シャーリーではなく白人のピアニストだったら、絶対に違う料理が出てくるはずです、、、。
そして演奏が始まり、一旦休憩時間に入ります。ドクター・シャーリーがトイレに入ろうとすると、支配人が声をかけ、「トイレはあちらです。」と外のボロボロの木造トイレを使うよう指示します。不快に思ったドクター・シャーリーは、支配人に「使ったことはあるんですか?」と尋ねますが、「外見が悪いだけで、苦情は来ていません。」と返し、その返答に納得が行かなかったドクター・シャーリーは片道30分かかるモーテルまで戻ることに、、、。

ジョージア州の紳士服店のお話

ジョージア州に移動し、演奏会場に向かう途中、ドクター・シャーリーは紳士服店のディスプレイに飾られている、タキシードが目に留まり、店内に入ります。トニーが店員に試着したいと伝え、その商品を受け取ったトニーからドクター・シャーリーに渡すと、「困ります。お買い上げいただければ、サイズは後からでも調整します」といきなり言われ、試着室にも入れてもらえませんでした。二人は諦め、そのまま店を後にします。

ミシシッピ州の警察にて

夜の大雨の中、二人が車で移動していると、突如パトカーに止められます。大雨の中、運転手のトニーは車外に出るよう警察に言われ、話をしていると、「黒人の夜の外出は禁止だ。お前はどこ出身だ。」と聞かれます。トニーが「イタリアだ。」と答えると、「あ〜。イタリア出身だから黒人とつるんでるのか。」と警察に嫌味を言われ、怒ったトニーは警察官を殴ってしまいました。当然、警察を殴ってしまったので、トニーは現行犯で拘留されますが、何もしていないドクター・シャーリーまで捕まってしまいます。その理由は、「暗い中外に出た。」ただそれだけです、、、。

やがて釈放され、次の会場に向かう途中、トニーとドクター・シャーリが車内で言い合いになるシーンがあります。ドクター・シャーリーが「物事を暴力で解決しては何も変わらない、僕はいくら酷い扱いを受けても一晩は耐える。」とトニーに言うのですが、トニーは「豪邸住まいのあんたと違って貧乏な俺はあんたより黒人だ」と言ってしまいます。その言葉に対するドクター・シャーリーの返答がなんとも切ないのです。

「金持ちは教養の一つとして黒人ピアニストの僕の演奏を聴く。その場以外の私はただのニガー。それが白人社会なんだよ。その軽蔑を一人で耐えてる。はぐれ黒人だから。」

この言葉にアメリカが築きあげた白人社会の全てが詰まっているように聞こえました。

アラバマ州のライブ会場にて

演奏前に控え室は物置のような狭い部屋を案内されたドクター・シャーリーが、会場レストランで食事をしていたトニー達に合流しようとした時、支配人が「ここは長い歴史の中で黒人をレストランに入れたことはありません、申し訳ないですが近くの、黒人が入れるレストランで食事をしてもらえますか。」と、VIPゲストとして招待されたドクター・シャーリーに向かって、そんな言葉をかけたのです。
この言葉を受けてトニーは必死にドクター・シャーリーを入れるよう、支配人を説得しようと試みますが、一向に入れてくれる気配がないため、単独コンサートをキャンセルすると言って演奏せずに帰りました。

かなりネタバレ要素含んでいますが、アメリカの白人社会の惨さをかなりわかりやすく描かれています。物語はハッピーエンドで心温まるストーリーとなっていますので、是非見てみてください☺️

さいごに。

こんなにも長い文章を最後まで読んでいだだいた方、本当にありがとうございます。この記事を投稿するきっかけは、私が大学生の時に北米のボストンに留学した経験です。大学の授業内ではキング牧師など、人種差別問題について現地で勉強したので、歴史的なことは少し理解しているのですが、この映画を今になって見返した時、こんなにもひどい扱い平気で受けてしまう社会なのかと改めて感じたので、ブログを書くことにしました。
留学時代を思い返すと、そういえば教授はほぼ全員白人で、黒人さんは庭師とセキュリティガードマンと学校専用のリムジンバスの運転手と清掃員だけだった気がします、、、。その時は特に気づかなかったのですが、人種差別問題を実際に体験していました。私の友人は、大学寮近くの近所に買い物に行く途中、車からゴミを投げつけられたそうです、、、。アジア人というただそれだけの理由で。ハーバード大学やMITのあるボストンは学生の街なので、アジア系やその他の国からの留学生が街に溢れています。銃も禁止されている地域なので、治安は本当に良く大変住みやすい街でさえ、白人社会でした。

理論上や法律上は差別をしないとしていますが、肌の色だけで仕事に就けなかったりと、生きていることそのものを否定される社会って、なんて悲しいんだろうと思います。こんなくだらない差別など、本当に一刻も早くなくなれば良いなとただただ願うばかりです。

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